「診療報酬改定」――この言葉を聞くと、「やっと私の行ってきたことが点数ついてきた」もしくは「また制度が変わるのか」「準備が間に合うのか」と不安に思う先生も多いのではないでしょうか。しかし、今回の改定には医院にとってチャンスも多く含まれています。「かかりつけ歯科医」の役割強化を中心とした方向性は、医院経営にも安定と成長をもたらす可能性があります。この記事では、中央社会保険医療協議会 総会(第616回) 議事次第、歯科その1を参照に改定のポイントを整理し、今すぐできる具体的施策をステップごとに紹介します。
中央社会保険医療協議会 総会(第616回) 議事次第 令和7年9月10日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63223.html
歯科その1はこちら
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001560014.pdf
令和6年度診療報酬改定のキーメッセージ
- かかりつけ歯科医機能の強化
患者のライフステージ(小児・成人・高齢期)を通じて「口腔機能」の発達・維持・回復を管理する役割がこれまで以上に重視されている。
- 予防・重症化予防へのシフト
ただむし歯や歯周病を治すだけではなく、機能低下・口腔機能発達不全などの早期発見・対応に報酬が付きやすくなる方向。
- 障害者・医学的ケア児・在宅患者への対応評価の引き上げ
通常診療では対応が難しい患者に対しての加算や設備・体制整備を求める制度的要請が強まっている。
- ICT/デジタル技術の活用拡大
電子カルテ、遠隔相談、画像診断のデジタル化などが、制度上の評価対象として注目されている。


医院として“今から”始めるべき改革ステップ
表記を踏まえた歯科医院が行うべきステップを以下にまとめさせて頂きます。
ステップ | 内容 | 具体例 |
ステップ1:現状分析 | 自院の診療の「“強み/弱み”“得意分野”」を洗い出す | 小児歯科・訪問歯科・障害者対応など、現在どの患者層に多く応えているか記録してみる |
ステップ2:診療報酬の要件把握 | 新しい加算や施設基準など、何が求められるかを詳しく学ぶ | 改定資料・厚労省通達を読み、必要な届出や設備基準をリスト化する |
ステップ3:機能評価・検査体制の導入 | 口腔機能検査(嚥下・舌圧・咬合力など)の導入、機能低下のスクリーニング | チェックリストを採用し、定期健診で毎回の機能検査を組み込む |
ステップ4:設備・ユニットの整備 | 特別な配慮を要する患者に対応できる設備をそろえる | 車いす対応ユニット、訪問用ポータブル機器、姿勢補助具などの導入検討 |
ステップ5:スタッフ教育・体制づくり | 職員の意識とスキルを育て、対応できるチーム体制を作る | コミュニケーション研修、障害者ケア講習、嚥下・口腔機能の勉強会など |
ステップ6:地域・医科歯科・福祉との連携強化 | 地域包括ケア、他職種との協働を視野に入れる | 地域の介護施設や医科病院と連絡ルートを確立、患者紹介ルートを整備する |
成功事例から学ぶ医院の変革
たとえば、愛知県幸田市にあるハピネス歯科様 https://happiness-shika.com/ では「障がい者診療」に対応する為、早くからスタッフ教育、有資格者の採用、各種器具機材など揃え先進的に取り組まれております。

まとめ
今回の診療報酬改定は、「変化の要求」だけでなく医院にとっての“医院の診療モデルの変化のチャンス”でもあります。早めに準備を始める医院は、制度変化をリードできるだけでなく、地域での存在感・信頼を高めることが可能です。
以下は今日から実践できるので是非読んでみて頂けますと幸いです。
- 改定内容(加算・施設基準など)を自院で共有してみる。
- 一つ、口腔機能検査を定期健診に組み込んでみる。
- スタッフとのミーティングを設定し、対応可能な患者像を洗い出す。
これらを積み重ねて、あなたの医院も「時代の波」を味方につけていきましょう。
当社では幅広い歯科医院様向けのサービスを展開しておりいつでもご相談ください。