目次
歯科が押さえるべき「4つの柱」と医院経営への影響
政府は12月26日、2026年度診療報酬改定の本体改定率を「プラス3.09%」とする方針を決定しました。
今回の改定は単年度ではなく、
- 2026年度:+2.41%
- 2027年度:+3.77%
を段階的に引き上げ、その平均値として3.09%とする変則的な設計が特徴です。
医療全体としても久々の大幅プラス改定となる中、歯科分野では以下の3点がポイント化と思います。
①口腔機能管理料や小児口腔機能管理料の対象範囲を拡大することは合理性がある」
②歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療は統合で3か月毎のメンテナンスとして運用されている状況を改め
③歯科訪問診療料について、同一建物に居住する多人数を訪問して1人当たり診療時間が20分未満の場合、適切な処置等が実施されていないと考えられるため、適正化
本記事では、厚労省の議論やこれまでの改定の流れを踏まえ、歯科が注目すべき4つの柱を整理し、医院経営への影響を解説します。
「中央社会保険医療協議会 総会(第 639 回)議事次第 令和7年 12 月 26 日」の
詳細はこちらからご確認ください。
前回の歯科医療その1は以下です。
2026年度診療報酬改定の全体像(整理)
まず、今回の改定を全体像で整理すると以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本体改定率 | +3.09%(平均) |
| 改定方式 | 2年分を分割引き上げ(2026+2027) |
| 政策メッセージ | 賃上げ対応/医療の質向上/DX推進 |
| 歯科の方向性 | 管理・連携・人材・デジタルの再評価 |
単なる「点数アップ」ではなく、算定の中身が問われる改定になる点が重要です。
柱① 患者目線へシフトする口腔機能管理・歯周病治療
キーワードは「わかりやすさ」と「効率化」
口腔機能管理・歯周病管理は、これまで以上にQOL向上との結びつきが重視されます。ただし今回は、制度のシンプル化が大きなテーマです。
主な見直しポイント
| 項目 | 改定の方向性 |
|---|---|
| 口腔機能管理料/小児口腔機能管理料 | 要件整理・評価の簡素化 |
| 歯科疾患管理料 | 初診算定・同意書要件の見直し |
| SPTとP重防 | 治療フェーズの明確化 |
ライフステージや個々の患者の特性によって口腔機能の課題が異なることを踏まえ、限られた歯科医療資源で充実が必要な領域や適正化の余地がある領域を判断し、メリハリのある評価により、多様な歯科医療ニーズを過不足なく充足することが重要である。
・高齢者の口腔機能低下症や小児の口腔機能発達不全症について、機能的な特性だけでなく、通常と異なる特別な管理を行うのであれば、学会の診断基準に基づき口腔機能管理料や小児口腔機能管理料の対象範囲を拡大することは合理性がある。
・歯科疾患管理料について、歯科医師の手間が初診と再診で変わらないのであれば、初診減算の廃止と合わせて再診時の評価を適正化するべき。継続的な歯科疾患の管理という趣旨が徹底されるよう、算定対象となる患者像を明確化し、初診時に管理計画を患者に説明して理解を得ることも必要である。
・患者に違いが分かりにくい歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療は財政中立で統合するとともに、実質的に3か月毎のメンテナンスとして運用されている状況を改め、病態に応じた治療を運用面で担保するべき。
経営・現場への影響
- 口管強に関する重要性がより増してくるかと思います。
- メンテナンス間隔に関して見直しが必要かと思います。
- 機能改善に向けた取り組みが必要かと思います。
柱② 多職種連携は「実効性」のフェーズへ
これまでの
「連携すれば点数がつく」
という考え方から、
「本当に患者利益につながっているか」
が問われるフェーズに入ります。
注目される連携領域
| 領域 | 評価のポイント |
|---|---|
| 医科・歯科・薬局連携 | 双方向の情報提供(特に糖尿病) |
| 病院歯科 | 診療所の後方支援機能 |
| 連携評価全般 | 類似加算の整理・一本化 |
経営的な示唆
- 書類だけの連携は評価されにくくなる
- 実績の蓄積(紹介・フィードバック)が重要
- 地域連携を「点数目的」から「診療戦略」に昇華できるかが鍵
柱③ DH・DTの定着と専門性をどう評価するか
人材不足が深刻化する中、賃上げ原資の確保と専門性評価は引き続き重要テーマです。
これまでの加算の検証と今後
| 加算 | 今後の扱い |
|---|---|
| 口腔機能指導加算 | 効果検証 → 継続・強化の可能性 |
| 歯科技工士連携加算 | 定着・賃上げ効果を踏まえ再評価 |
| 人材系評価全般 | 「形だけ算定」は厳しく |
医院側の準備ポイント
- より生産性を上げていく事が必要かと思います。
- 加算=給与還元につながる構造を作れるかが重要
柱④ デジタル化加速とCAD/CAM冠の行方
歯科DXは引き続き強力に推進されますが、質の担保が同時に求められます。
CAD/CAM冠・光学印象の方向性
| 項目 | 改定の方向 |
|---|---|
| CAD/CAM冠 | 適応範囲拡大の可能性 |
| メタルフリー | 推進継続 |
| 光学印象 | 評価拡大・導入差が顕在化 |
まとめ|2026年度改定に向け、医院が今からやるべきこと
今回の改定は、
「準備している医院」と「何も変えていない医院」
の差がより明確に出る内容です。
今から進めたい3つの準備
- 管理料の再設計
→ 説明トーク・資料を含めた運用の見直し - デジタル投資の検討
→ 光学印象・技工連携体制の再確認 - 連携実績の可視化
→ 医科・薬局との情報提供フロー構築
プラス改定という追い風を、
「一時的な売上増」で終わらせるか、
「構造的な強化」につなげられるか。
2026年度改定は、その分かれ目になりそうです。