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開業
2025/03/14

【第1回】歯科医院の開業はゴールではなくスタート ― 成功する歯科開業に共通する戦略とは?

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皆様
いつもお世話になっております。株式会社AMI代表の川口です。お忙しい中、コラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。

歯科医院の開業は、多くの歯科医師にとって長年の夢であり、大きな挑戦でもあります。自分の理想の診療を形にできるチャンスである一方、競争の激しい医療業界の中で、どうやって成功へと導くのか――開業直後こそ、もっとも重要な経営判断が求められるタイミングです。

本シリーズでは、歯科医院の経営支援に特化した株式会社AMIのコンサルティング実績をもとに、「開業直後に成功を掴むための3つのポイント」を3回に分けて解説していきます。

第1回目のテーマは、「顧客視点に基づいた明確なマーケティング戦略の策定と実行」です。開業後すぐに集患ができる医院と、そうでない医院の違いは、まさにここにあります。


■「良い治療」だけでは選ばれない時代

どれだけ技術に自信があっても、「知られていなければ存在しないのと同じ」です。開業当初、地域住民の中であなたの医院を知っている人はほとんどいません。そのため、開業直後は「知ってもらう」「選んでもらう」ことにフォーカスした戦略が必要不可欠です。

ここで重要なのが、「マーケティング=広告宣伝」ではないということ。マーケティングとは「顧客を理解し、選ばれる仕組みを構築すること」です。


■マーケティングの出発点は「顧客理解」

まず考えるべきは、「どのような患者に来てほしいのか」というターゲットの明確化です。以下のような地域分析が必要です。

  • 年齢層・所得層・家族構成(ファミリー層、シニア層など)
  • 人の流れ(駅近、通学路、商業施設の立地)
  • 競合医院の特徴(診療科目、診療時間、口コミ、強み)

たとえば、ファミリー層が多いエリアであれば、小児歯科や親子で通える医院づくりが有効です。一方、ビジネス街であれば、短時間・昼休み診療などの利便性をアピールすべきです。


■「売り込み」ではなく「自然に選ばれる」仕組みをつくる

マーケティングの神様ピーター・ドラッカーは「マーケティングの目的は、販売を不要にすることだ」と語っています。つまり、患者様が自ら「この医院に行きたい」と思うような仕組みを作ることが真のマーケティングです。

そのためには、以下のステップが必要です。

  1. 地域にいる顧客のニーズを徹底的に理解する
  2. そのニーズに応える強みを明確化する
  3. その強みを“わかりやすく”届ける

これが「戦略的なマーケティング」の核となる考え方です。


■マーケティングを「アート」から「サイエンス」へ

従来の歯科医院経営では、経験や勘に頼った“アート”型のマーケティングが中心でした。しかし、今は「データと論理」に基づいた戦略的なマーケティング=“サイエンス”の時代です。

たとえば、以下のような指標を設定することで、集患活動の精度が飛躍的に向上します。

  • KGI(重要目標):年間売上や新患数の最終目標
  • KPI(重要業績指標):月間新患数、予約件数などの中間目標
  • KFS(成功要因):予約導線の改善、LP制作、広告設定などの具体策

こうした目標と実施計画を数値で管理することで、改善点が明確になり、無駄な試行錯誤を減らすことができます。


■院外マーケティング vs 院内マーケティング

マーケティングは大きく分けて2つの軸があります。

分類内容目的
院外マーケティングWEBサイト、Google広告、SNSなど新規患者の獲得
院内マーケティングカウンセリング、接遇、CRM既存患者の定着・LTV向上

開業初期は院外マーケティングを強化し、「認知拡大」と「来院動機の創出」に注力することが鉄則です。


■開業はスタート地点。成功は「設計図」にかかっている

「良い治療をしていれば患者は自然に増える」――この考え方では、今の歯科医療業界を勝ち抜くことはできません。逆に言えば、しっかりとした戦略があれば、設備が最新でなくても、立地が一等地でなくても、成功することは可能です。

そのためには、マーケティングを最初から“設計図”として描くことが重要です。

次回は、実際にどのようにしてWEBマーケティングを開業前から準備し、開業直後のスタートダッシュにつなげるかを詳しく解説します。


【次回予告】

「開業前から差をつける!」WEBマーケティング戦略の全体像と成功のポイントを解説します。

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