皆様
いつもお世話になっております。株式会社AMI代表の川口です。お忙しい中、コラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。
開業直後、患者様を集めるためのマーケティング戦略やWEB施策は確かに重要です。しかし、“継続的に選ばれ続ける医院”になるためには、既存患者様との関係性をどう築き、どう維持していくかが成否を分けるのです。
第3回では、歯科医院における顧客関係管理(CRM)とコミュニケーション戦略の具体的な設計と実行方法について詳しく解説します。目指すべきは、「通ってもらえる」ではなく、「通い続けてもらえる」歯科医院です。
成功事例はこちらからどうぞ。
■ なぜ“リピート”が重要なのか?
新規患者の獲得にはコストと時間がかかりますが、既存患者のリピート促進は、少ないコストで安定した売上を生む経営の基盤となります。
たとえば、一人の患者様が年に6回来院し、それが10年続けば60回の来院。仮に1回の単価が1万円なら、LTV(顧客生涯価値)は60万円になります。この「LTVを最大化すること」が、安定した医院運営に直結します。
■ CRMとは「患者様との関係性のデザイン」
CRM(Customer Relationship Management)とは、「患者様との長期的な信頼関係をどう構築・維持するか」という考え方です。歯科医院におけるCRMのポイントは以下の通りです:
- 患者様の属性や来院履歴の把握
- リコール(定期検診)やメンテナンスの促進
- 自費診療への仕組み化
これらを実現するためには、デジタルツールと院内の仕組み化の両輪が必要です。
■ LINE公式アカウントの戦略的活用
最近、CRMツールとして最も注目されているのがLINE公式アカウントの活用です。LINEは高齢者から子育て世代まで幅広く使われており、開封率・返信率ともに非常に高いツールです。
▼ LINEでできるCRM施策の例
- 予約リマインド
予約の前日にメッセージを自動配信。キャンセル率が大幅に下がります。 - ステップ配信
初診から数日後に「治療の流れ」や「メンテナンスの重要性」を自動送信。医院への理解と信頼を深めます。 - タグ配信(セグメント配信)
患者様に「小児」「矯正希望」「自費検討中」などのタグを付けて、ニーズ別の情報を届けます。 - メンテナンス促進メッセージ
半年後に「定期検診の時期です」と自動通知。リコール率向上に直結します。 - 自費診療の啓発
症例紹介やメリット解説をタイミングよく配信することで、自費治療の相談率が高まります。
■ 院内オペレーションも「CRM」の一部
CRMはデジタル施策だけで完結するものではありません。院内での“人と人の接点”も重要なCRMの一部です。
▼ 院内で意識すべきコミュニケーション施策
- 問診票の活用
「何に悩んで来院したのか?」「どんな期待を持っているのか?」を丁寧に把握し、初回カウンセリングに反映。 - 治療計画の共有と説明
患者様の理解・納得が深まることで、信頼感が高まり、キャンセルや中断のリスクが減少します。 - 治療の“節目”でのカウンセリング
補綴前、終了時、メンテナンス移行時など、意図的なタイミングでしっかり説明を挟む。 - 衛生士の継続担当制
顔見知りの衛生士が継続して担当することで、リコール率が大きく上昇する事例も多くあります。
■ ディズニーランドに学ぶ「リピート戦略」
ディズニーランドの来場者の約97%がリピーターだと言われています。彼らは、新しいアトラクションだけでなく、「また行きたい」と思わせる細やかな体験や関係性設計に力を入れています。https://www.sbbit.jp/article/cont1/31765
歯科医院でも同様に、「また来たい」と思ってもらえる“仕掛け”や“関係性”が鍵です。
- バースデーメッセージ
- 季節の健康情報
- 家族向けイベントのお知らせ
- 治療完了時のお礼メッセージ
こうした“医院の温度感”が、患者様の記憶に残るのです。
■ LTV最大化=“紹介が生まれる医院”になる
CRMの究極の目的は、「一人の患者様が、長く通い、家族や友人を紹介してくれる医院をつくること」です。そのためには、1回1回の来院体験を丁寧に積み重ね、情報提供やコミュニケーションの質を高めていく必要があります。
■まとめ:開業後の安定経営は「リピート率」で決まる
これまで3回にわたって、「開業直後に成功を掴むための3つのポイント」をご紹介してきました。
- 顧客視点に基づいたマーケティング戦略の策定と実行
- 定量データに基づくPDCAサイクルの確立
- CRMとコミュニケーション戦略の構築によるリピート促進
この3つは、どれも「医院経営を支える柱」であり、どれか1つでも欠けると成果は出にくくなります。とりわけ、開業直後は時間も予算も限られているため、「何を優先すべきか」「何を仕組み化すべきか」を明確にすることが極めて重要です。
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